ストアアプリ化計画
ストアアプリ化計画
テキストエディタ「Mery」を Windows 10 ストアで公開する計画です。
Windows 10 になってマイクロソフトのフリーソフトに対する風当たりは益々冷たくなり、清廉潔白なフリーソフトでもウイルス扱いされる悲しい時代となりました。
テキストエディタ「Mery」は趣味の日曜プログラミングで開発しているアプリケーションですから、多くの人に使ってもらいたいといった野望はございませんが、プログラミングにおけるアドバイスを頂いたり、ご意見・ご要望をいただいたりして徐々に進めていく開発作業は、ダンジョン探索型の RPG で地下深く潜っていく感じでとても楽しいです。
ストアアプリ化計画の概要
このまま適当にやっていけるに越したことはないのですが、最近の Windows はデジタル署名なしのアプリケーション、いわゆる野良アプリを片っ端からウイルス扱いしており、Mery も更新のたびに SmartScreen やウイルスチェックソフトで誤検出されてしまうようになりました。
その都度、様々なウイルスチェックソフトのメーカーに検体を送付して、安全認定をもらって対処していますが、それでも更新のたびに誤検出されてしまいます。
これらの作業には非常に時間がかかりますし、プログラミングの楽しさも忘れてしまうほどの面倒くささを伴います。こういったウイルスチェックソフトによる誤検出をなくすためにはデジタル署名というものが必要になります。
デジタル署名とは、正確にはコードサイニング証明書というもので、アプリケーションの配布元を認証し、ウイルス混入などの改ざんがされていないことを保証するものです。
「じゃあ、デジタル署名をつければいいじゃない」
と思うじゃないですか。
このデジタル署名、めちゃくちゃ高いんです。もともと法人向けの仕組みだったこともあってか、年間、6 万~なんていう、個人の趣味でちょっと買ってみるかーとならない価格帯なのです。最近ですと、業界最安値ということで年間 2,1000 円なる業者もあるようですが、2 万円だって高いじゃないですか。
そんな時に教えていただいたのが「ストアアプリ化」だったのです。
ユーザさんのメリット
- デジタル署名が付くのでセキュリティ的に安心して使えるしウイルスチェックソフトで誤検出されなくなる
- ストアによる自動更新が可能になる
- 環境をまったく汚さない
ユーザさんのデメリット
- ストアアプリになるので一部の機能が制限される
- お金がかかる
作者のメリット
- デジタル署名を付けられるのでウイルス誤検出に関する問い合わせが減る
作者のデメリット
- デスクトップブリッジなので更新が大変
- Mery ダウンロードサイトのアクセス数が減る
- お金がかかる
ストアアプリ化計画の詳細
Microsoft ストアで販売されているアプリケーションは、Microsoft が推奨している規格、UWP (ユニバーサル Windows プラットフォーム) アプリケーションと呼ばれ、普通の PC はもちろん、Windows Mobile や Xbox などでの動作を想定したものになっています。
そこで、デスクトップアプリケーションを UWP アプリっぽくする仕組み "Desktop Bridge" を使えば、Mery も、ストアアプリ (UWP っぽいけど UWP じゃない) として Microsoft の手厚いサポートが受けられるようになるというわけです。
UWP っぽくなるだけで、UWP になるわけではないので Windows Mobile や Xbox で動作するわけではありませんが、ストアアプリ化することでデジタル署名の付与と自動更新という、個人開発のフリーソフトではちょっと敷居の高い機能を Microsoft が代行してくれます。
Microsoft ストアでアプリを公開するためには、個人開発の場合、登録するために約 19 米ドルの費用がかかるようですが、デジタル署名の年会費や、自動更新のためのハイスペックなレンタルサーバー運用費と比べると 2,000 円の登録料でそれらの機能が実現できるのは非常にお得です。
論理的な問題点
- "Desktop Bridge" を使ったアプリは登録や更新が面倒くさい
- UWP アプリと違って担当者と直接やり取りとかを経て登録や更新ができるらしい… (イヤすぎる)
- 自動更新できてしまうとブログのアフィリエイトが絶望的
- フリーソフトの開発はボランティアでやっているわけではなく趣味半分の小遣い稼ぎ半分なのです
- ストアアプリを使う人の少なさ
- Android や iOS、Mac ならわかりますが、Microsoft のストアを利用している人は見たことありません
物理的な問題点
- ストアアプリは Win32 アプリよりもできることが限られている
- インストーラが使えないのとレジストリへのアクセスもできないので関連付けや右クリックメニューで [Mery で開く] などは使用できない
- プラグインを追加できない
- アプリケーションフォルダが隠蔽されているので Plugins フォルダにアクセスできない
- 例えば Documents フォルダの Plugins フォルダも読むようにしたら大丈夫なのかな?
- → Office 系のアプリもストアアプリ版はアドオンが使えないらしい。セキュリティ的な問題?
- DirectWrite が使用できない
- E〇Editor さんのストアアプリ版の注意事項に書かれていましたが、DirectWrite って使えないのでしょうか。テストで作ってみたアプリ版だと普通に使えています。
- コマンドライン起動ができない
- 実行ファイルのパスが隠蔽されているのでコマンドラインから起動できませんね。秀〇エディタさんのストアアプリ版だと、あたかもコマンドラインから起動したかのように動作させるスクリプトがあるらしいです。
- 通常版のライセンスが使えない
- 秀〇エディタさん、E〇Editor さん、どちらもライセンスは別管理のようです。無料の Mery には関係ないお話ですが。
- バージョンダウンができない
- スマホアプリとかでも同じですが、更新はできてもロールバックはできません。バグが出たら作者が早めに直してくれることを祈るしかないっていう時代。
- トレイアイコンが使用できない
- E〇Editor さんのストアアプリ版の注意事項に書かれていましたが、トレイアイコン使えないの?
上記の通り、いくつかデメリットがありますが、デジタル署名と自動更新という安心感は非常に魅力的です。
そういうわけで、通常通りベータ版やデジタル署名なしの正式版はフリーで公開していきますが、ストア登録料と更新手順の面倒くささと自動更新に対応したらアフィリエイト絶望的という点から、ストアアプリ版は有料アプリにしようと考えています。
さて、問題は価格ですが…。
ストアアプリアイコン
Windows のスタートメニューとかに表示されるアイコンが新たに必要な模様ですが、どうせなら Windows のデザインに準拠したアイコンを用意したいところです。
シンプルかつ、一目でエディタってわかるアイコンで、Windows 10 っぽいデザイン。これで行きましょう。
MeryWiki のアイコンを変更してみた。
方針
- 完全に有料アプリ化するわけではなく、ベータ版と正式版はフリーソフトで、いつもどおりのまったりペースでリリースできるのが望ましい
- ストアアプリ版はセキュリティが気になるかたや、自動アップデートを使いたいかた向け
- 通常、正式版は 1 年に 1 度かそれ以上の間隔でのリリースだけどストアアプリ版は有料ということで更新頻度を上げて不具合の対応などを細かく行う
価格
- 秀〇エディタさん \4,000 (売り切り)
- E〇Editor さん 約 \2,000 (年額課金)
- Inkdrop さん 約 \500 (月額課金、ストアアプリではないけど個人開発のソフトで成功されているので参考になります)
最近ではフリーソフトでも高性能なテキストエディタが多いのであまり強気な価格設定にはしづらいが、ストアに出品する費用とストアアプリのメンテナンスにかかる作業分は回収したい気がする。
ストアアプリ版の特典
- デジタル署名と自動更新以外にも何らかの特典を付けたい
開発支援をいただいたかたへの特典
- ストアアプリ版で有料化した場合、今まで無料版で寄付・開発支援をいただいた方も特典を利用できるようにしたい
- でも、ストアアプリのライセンスはマイクロソフト管理なのでストアアプリライセンス自体を付与することはできない