ダークモード対応
Windows 10 のダークモードに対応するためには?
現時点 (Windows 10 1809) では、Windows 10 のダークモードに対応するためには UWP アプリケーションである必要があります。
しかし、Windows 10 1809 では explorer.exe がダークモードに対応したことで、Win32 アプリケーションのダークモード対応も徐々に開発されているような気がします。
Windows 10 1809 ではいくつかの非公開 API の存在が確認されており、これらを呼び出すことで Win32 アプリケーションでもダークモードに対応できる可能性が見えてきました。
Windows 10 のダークモードの隠し API 研究
下記は Delphi でダークモードの API を呼び出す実験で作成した Delphi XE2 のソースコード (雑) です。
アプリケーションの起動時に 1 度、AllowDarkModeForApp を呼び出しておけばメインメニューなどは Windows 10 のダークモードの設定の ON・OFF に連動して色が変わりました。
また、AllowDarkModeForWindow を使用すれば TButton や TComboBox などに対してもダークモードを有効にできるらしいのですが、私の環境ではうまく動きませんでした。
unit DarkModeClasses;
interface
uses
{$IF CompilerVersion > 22.9}
Winapi.Windows, System.SysUtils;
{$ELSE}
Windows, SysUtils;
{$IFEND}
const
THEME_LIB = 'uxtheme.dll';
type
TShouldAppsUseDarkMode = function: BOOL; stdcall;
TAllowDarkModeForWindow = function(hwnd: HWND; allow: BOOL): BOOL; stdcall;
TAllowDarkModeForApp = function(allow: BOOL): BOOL; stdcall;
TFlushMenuThemes = procedure; stdcall;
TRefreshImmersiveColorPolicyState = procedure; stdcall;
var
FHandle: THandle;
FLoaded: Boolean;
RefreshImmersiveColorPolicyState: TRefreshImmersiveColorPolicyState;
ShouldAppsUseDarkMode: TShouldAppsUseDarkMode;
AllowDarkModeForWindow: TAllowDarkModeForWindow;
AllowDarkModeForApp: TAllowDarkModeForApp;
FlushMenuThemes: TFlushMenuThemes;
DarkModeSupported: Boolean;
implementation
function DarkModeLoadLibrary: Boolean;
begin
if CheckWin32Version(10) and (TOSVersion.Build >= 17763) then
FHandle := LoadLibrary(PChar(THEME_LIB));
Result := FHandle <> 0;
if Result then
begin
@RefreshImmersiveColorPolicyState := GetProcAddress(FHandle, MakeIntResource(104));
@ShouldAppsUseDarkMode := GetProcAddress(FHandle, MakeIntResource(132));
@AllowDarkModeForWindow := GetProcAddress(FHandle, MakeIntResource(133));
@AllowDarkModeForApp := GetProcAddress(FHandle, MakeIntResource(135));
@FlushMenuThemes := GetProcAddress(FHandle, MakeIntResource(136));
if (@RefreshImmersiveColorPolicyState <> nil) and
(@ShouldAppsUseDarkMode <> nil) and (@AllowDarkModeForWindow <> nil) and
(@AllowDarkModeForApp <> nil) and (@FlushMenuThemes <> nil) then
DarkModeSupported := True;
end;
end;
procedure DarkModeFreeLibrary;
begin
if FHandle <> 0 then
FreeLibrary(FHandle);
FHandle := 0;
end;
initialization
if not FLoaded then
FLoaded := DarkModeLoadLibrary;
finalization
if FLoaded then
DarkModeFreeLibrary;
end.
TButton や TComboBox などをダークモードに対応させる
Winapi.UxTheme の SetWindowTheme メソッドを使用してダークモードのテーマを割り当ててやることで、一部のコンポーネントはダークモードに対応させることができるようです。
SetWindowTheme(Handle, 'DarkMode_Explorer', nil);
しかしながら まだ情報が公開されていないこともあって 'DarkMode_Explorer' の部分は謎ですが、例えば TTreeView や TButton ですと 'DarkMode_Explorer'、TComboBox ですと 'DarkMode_CFD'、TListView ですと 'DarkMode_Explorer' か 'DarkMode_ItemsView' でダークモードが適用されるようです。
タイトルバーをダークモードに対応させる
ウィンドウのタイトルバーをダークモードに対応させるのは簡単で、DwmSetWindowAttribute を FormShow などで呼び出します。
var
LDark: BOOL;
begin
LDark := True;
DwmSetWindowAttribute(Handle, 19, @LDark, SizeOf(LDark));
Mery のダークモード対応
上記の方法を使うと Win32 アプリケーションでも、ある程度はダークモードに対応することができます。
まだ、TCoolBar や TToolBar は挙動不審、TStatusBar、TPageControl、TCheckBox、TRadioButton などは未対応ということで実用レベルには達していませんが、今後、Microsoft さんが対応を進めてくれることを望みます。
上の画像の通り、TListView はカラムヘッダーの文字色が黒のままだったり、TCheckBox や TGroupBox の文字の色が黒のままだったりしますが、こういった部分は見た目を気にしなければ OwnerDraw や WM_PAINT で頑張ることで一応、色を変えることは出来そうな気もします。
注意事項
この記事の内容は Windows 10 1809 のみで動作するであろう非公開 API を使用した裏技的な方法ですので、今後、API の仕様が変更されたりそもそも使用できなくなる可能性もありますから、実験目的以外では使用しないほうが良いと思います。
その他のアプローチ
Delphi の VCL スタイルを使う
Delphi 10.3 Rio だと VCL スタイルの動作はある程度安定してきてはいるものの、Per-Monitor DPI 対応は今ひとつです。
スタイルのリソースを exe に内蔵することになるのでファイルサイズの肥大化と起動速度の低下が問題。
隠し API を使いつつ Microsoft が対応してくれなさそうな部分のみ自前で実装する
TCoolBar、TToolBar、TPageControl、TCheckBox、TRadioButton、TGroupBox などは現在のところ隠し API ではダークモードに対応していないようなので自前で実装してみます。
Windows の描画を横取りしてすべて自前で描画する作戦。これだと Delphi の VCL スタイルを使うよりも高速に動作するし、実行ファイルのサイズも肥大化しません。
問題は、開発が非常に難しいということです。
- 2019/08/09
- 基本的なコンポーネントは自前でダークモードっぽく描画するようにしてみました。